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清く、楽しく、エコライフ−天然酵母でパンづくり

 

今回インタビューでお話を伺ったのは、天然酵母でのパンづくりをきっかけに、積極的にイベントも開催する、IL CIELO(イルチエロ)店主の大東澄江(だいとうすみえ)さん。

玄米、おから、バナナ、デーツ(なつめ)で作られた天然酵母パンを一口食べてみると,それは自然な甘さでやさしい味だった。大東さんの人柄そのもののパンをいただきながら、なごやかな雰囲気の中、取材を始めた。

 

 

素材の味を引き出し、『生きたもの』をからだに入れたい

大東さんは、パンを作るときに素材の味を引き出すことを一番に考える。「大切な食材を扱うので、なるべく生産者のわかるものを使っています。生産者の顔を浮かべると愛情も感じられて、大切に扱えるでしょう」

品質改良されていない素材をできるだけ使い,時間はかかるが『生きたもの』をからだに入れていきたいと天然酵母にこだわってパンを作っている。

 

 

試行錯誤のうえ、めぐりあった天然酵母

食べることが大好きで、元々、お菓子を作りたかったという大東さん。フランスやイタリアへ行き、各地の料理やお菓子を味わい堪能しつつも、外国のスイーツは甘すぎると感じたり、働いていたレストランでは、剥いて捨てられる野菜の皮が気になったりした。

自分の道を模索する中、たどり着いたのが、天然酵母でのパンづくりだった。

アロエの皮やりんごの芯などで、4~5日かけて天然酵母をおこす。それからパン種を仕込む。時間という魔法をかけ、シンプルだけど、ゆっくり、ていねい作られていく。

玄米や発酵食品の魅力にはまった大東さんは、穀物の知識を得て健康な食生活を実践する『グレインマイスター』という資格を取ったり、梅干しや味噌、どぶろくづくりにいそしんだりしている。

 

 

お客様に思いをはせながら

イルチエロでは,主に向島の店舗やインターネットを通じてパンが販売されている。

「ネットでは、北海道から沖縄まで注文をいただいています。海外在住で一時帰国している方に、ホテルまでパンを届けに行ったこともありますよ」と全国にファンを持つ。

メールでの注文は、お客様の顔は分からないものの、言葉づかいや書体によってその人を想像し、思いをはせながらパンを作る。そんな愛情たっぷりの天然酵母パンに、ファンの舌も心も大満足だろう。

 

 

歯とからだはつながっている!

暮らしにおける気づきや発見は多々あるが,その中の1つとして,大東さんは永久歯が生えてこない子どもが増えていることを知ったそうだ。 原因は明らかになっていないものの、よく噛まないから歯が退化しているとも考えられている。

噛むことで免疫力も上がり、歯とからだはつながっているので、「パンづくりを通して、噛みしめることの大切さを見直して、子どもの成長に少しでも役にたてれば」と願っている。

 

 

子宮をきれいに!? 布ナプキンという選択

布ナプキンに出会ったときもまた、今までの暮らしや価値観が随分変わる経験だったそう。直接肌に触れるものには気を配りたいと使い始めると、やがて経血量も減り、期間が短くなったそうだ。布ナプキンを使うと冷えが取れたり、洗って繰り返し使えることからゴミも減ると言われる。使い心地は人それぞれではあるものの、紙製のナプキンだけでなく、「布ナプキンもあれば、紙製のものもあるという選択肢を、子どもの頃から与えられたらいいな」と大東さんは語る。「子どもが育まれる場所がきれいでないとね」と大東さん。

 

 

パーティー感覚でイベントを開催!

パンを作り販売するかたわら、店舗2階の空間を使ったイベントを開催するようになった。平成27年5月に行われた『シネマデモ?』イベントにて、インドの無声映画『聖者の食卓』を上映した時には、京都府や大阪府、愛知県から約30名が集まり、映画の感想を語り合うひとときを過ごした。

「イベントをすると、パーティーみたいな感じで来やすいでしょう? 月に一度パン教室を開いていますが、パンを教えているようでそうじゃなくて…。それぞれ、自分たちがより良い社会のためにできることをして、考える場にしたいと思っています」

 

 

いろんな生き方があっていい

「今は大企業に入ることがすべてみたいな流れがあるけれど…。子どもを集め、職人さんと接する機会を設けて、子どもを育てていきたい。私ならパン、陶芸家なら器づくりと、自分が楽しいと思ってやってきたことを伝えていきたいんです」と大東さんは話す。

「いろんな生き方があっていい。思いや生き方が変われば病気も減り、元気にもなれる。自殺者も減るでしょうし。きっと世界はよくなる、そんな野望を抱いています」(笑)

 

 

叔母に教わった『もったいない』精神

 

「大東さんにとってエコライフとは?」と尋ねると、子どもの頃親戚の叔母さんに教わった『もったいない精神』かもしれないという答えが返ってきた。

叔母さんから電気をこまめに消すことや水を流しっぱなしにしないなど聞いて育ってきたそうだ。いろんな世代の人に育てられたおかげで、一人ひとりが意識を持って実行していくことの大切さも感じるようになったそうだ。

大東さんは「消費することに責任を持ち、土に還るものを着たい。ゴミも含めて、すべて地球に還してあげたいんです」と自然に身についているエコな暮らしを語る。

自分と向き合い、未来に思いをはせながら、天然酵母のパンを焼く日々を送る大東さん。今日も大東さんの時間は、ていねいに紡がれていく。

 

 

IL cielo(イルチエロ)

京都市伏見区向島中島町30

TEL 090-7493-9880

http://ilcielopane.com/

営業時間 12~19時

定休日 火・木・土曜日

イートインもできます。ランチやパン教室、イベント等はお問い合わせください。

 

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