top of page

「さすてな京都」特集

今回は、伏見区の新スポット、「さすてな京都」の特集として、龍谷大学の学生さんが取材記事を書いてくれました。4グループそれぞれの目線で、「さすてな京都」の魅力をお伝えする、豪華4本立て構成でお楽しみください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「さすてな京都」は2019年10月にオープンした京都市伏見区にある京都市南部クリーンセンター環境学習施設です。ごみ処理施設に併設しているため、焼却炉やごみ発電、バイオガス化施設などを見学することができます。また、ごみ減量や地球温暖化、生物多様性などの環境に関する幅広いテーマを取り扱い、子どもから大人までが楽しみながら学習できます。

 

一階エントランスには、巨大なタッチパネル(インフォメーションウォール)があり、誰でもエコや京都の歴史・風景について学ぶことができます。二階には、クイズや間違い探し、ペダル型の発電装置の展示物があり、エネルギーや資源の大切さを遊びながら楽しく学ぶことができます。

 

施設見学の中でおすすめの場所は展望台です。大きな窓ガラスの外には京都の景色が一望できます。建物の外にはビオトープがあり、トンボや魚など多くの生物が暮らしていました。

未来につなぐ「もったいない」

〜さすてな京都で学ぶ「respect」〜

今回、私たちが参加したイベント、「こどもごみ分別講座」では、講師の天野光雄さんから家庭で生まれる様々なゴミをどのように処理すれば良いのかについて学びました。まず、特に間違えやすい商品のゴミの分別について説明していただきました。実際の商品を手に取りながら説明していただいたので、とてもわかりやすかったです。

その後、実際に理解できたかを確認するために、分別ゲームを行いました。分別ゲームでは、複数のゴミを手に取って、「燃やすごみ」・「プラスチック製容器、包装」・「かん・びん・ペットボトル」・「古紙、雑紙」と書かれたかごに分別します。ごみの分別に迷ったや間違った分別をした時には、天野さんやボランティアスタッフから「何かわからないことはないですか?」など何度も声をかけて教えて今後分別に迷わない自信をつけることができました。

 

 

天野 光雄さんへのインタビュー

 今回、私たちがインタビューした天野光雄さんは、さすてな京都でリユース工作教室とゴミ分別教室、こども発電実験教室などの講座を担当しています。天野さんはこれからたくさんのことを学び吸収していく子どもたちに、朝起きたらおはようと言う、靴はそろえて脱ぐと同じように「資源やエネルギーを大切にする」という「良い習慣」を身につけてほしいという思いを持って、講座への参加者に接しています。

 

 

天野さんのエコな取組み

 天野さん自身の取り組みとして、毎日自分の出すゴミの量を計測し、京都市が目標として掲げる一人一日あたり315gのゴミの量に抑える暮らしを実践しています。生ゴミはコンポスター(生ゴミを肥料にする容器)を用いて自分で処理し、肥料として使うことでゴミを減らす他、ゴミを捨てるときには水気を切る、乾燥させて軽くする工夫をしていることを教えていただき、天野さんのゴミを減らす取組みに対する熱意が伝わりました。

 

 

「もったいない」が地球の未来を救う

 天野さんにとってのエコを尋ねたところ、天野さんのいう「もったいない」とは、モノだけに限らず、エネルギーに対しても「respect」つまり、尊敬と感謝の気持ちを忘れないことを意味します。この「もったいない」という言葉は、実は環境保全の世界では比較的知られています。ケニア出身で、2004年にノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが2005年に来日した時、日本語の「もったいない」という言葉に感銘を受けて、国際会議や行事で「MOTTAINAI」と伝え、ものを大事にする精神性を一言で表す言葉として世界に発信しました。「モノやエネルギーに対してrespectの気持ちを持つことが大切です。ひとつひとつの資源やエネルギーに『もったいない』の精神を持つことがエコだと思う」と語る天野さんは地球の未来を救う「もったいない」と思う気持ちを大事にしていました。

 

イベントを通して、私たちは燃やすゴミと燃えないゴミの詳しい区別について学び、日頃分別できているようでできていなかったことに気づきました。また、さすてな京都では工場見学(京都市南部クリーンセンター第二工場)ができるので参加してみると、AR(スマートフォンや専用のグラスで覗くと、現実世界にバーチャルの情報を付けてくれる技術)を使用し、工場の状況を体感しながら、ゴミがどのように処分されるか学べるのでとてもわかりやすかったです。

 

さすてな京都を訪れて、ものに対するリスペクト、「もったいない」の精神を忘れてはいけないと感じました。私たちに足りないことはものの扱い方であり、「ものをリスペクトすることにより環境を守ることができる」という今までになかった考えが身につきました。このように、さすてな京都はこれまでの自分の考えを改めてくれる場所だと思います。

取材日

2020年8月11日 

​記者

龍谷大学政策学部二回生清水ゼミ 奥田 愛梨 川野 航士朗 伊永 諒太郎   西川 朋花

 

みんな知ってる?学べて楽しいさすてな京都!

私たちはトンボの生態について学ぶイベントに参加しました。教室でトンボの特徴を学んだ後、施設内にあるビオトープでトンボを採集しました。ビオトープには、トンボの幼虫であるヤゴの抜け殻もあれば、交尾中のトンボも見られました。トンボの共食いというハプニングも起きて、初めて見る光景に参加していた子供達は「見て、見て!」と興奮してお母さんに嬉しそうに話し、一気に場が賑やかになりました。子供達は自分で捕まえたトンボを見せ合ううちに、すっかり打ち解けていました。

私たちも、日頃自然に触れる機会なく過ごしているのでトンボを捕まえることそのものが貴重な体験で、これまで知らなかった「トンボの世界」を堪能しました。

 

イベント終了後、講師の中西一成さんからお話を伺いました。トンボを含め、生物全般に詳しい中西さんは、現在さすてな京都の環境コーディネーターとして、主に親子向けの学習プログラムを提供しています。

 

環境問題という簡単には解決できないことに対しては、「本当に正しいのかな?」とこれまでの常識を疑ってみたり、現在分かっている科学知識だけで対処しない姿勢が必要だと中西さんは考え、そのためには子供の頃から自然に触れるとともに、批判的に環境や社会を見る目と考える力を身につけることが大切だと感じています。その思いをベースに、さすてな京都では子供・若者を対象とするプログラムが次々と生まれ、年間を通じて環境について学べるようになっています。

 

京都に暮らす子どもたちはもちろん、いずれは修学旅行生も訪れるような魅力的な施設になり、さすてな京都での学びを通じて新しい発想や価値観を持つ若者を育てたいと熱く語られていました。子どもたちがやがて持続可能な社会の作り手になれるような場所を作っていきたいのだそうです。

人間が自然を分かった気になって自分たち優先し、自然を壊し、生物を絶滅に追いやるといずれエコシステムの一部である自分たちも被害を受けてしまうので、目に見えない世界に対してもっと謙虚になり、自然と向き合っていく必要があると語られていた中西さん。

トンボの生態一つとっても、なかなか目に見えない世界ですね。いえ、見えるかもしれないけれども意識しなければつい見過ごしてしまいそうです。だからこそ、さすてな京都に行って色々な角度で環境を学び、五感を使って体験してはいかがでしょうか。

 

また、もしあなたが私たちと同じく環境政策を学んでいるなら、ゴミ処理問題について興味を持つ人もきっとたくさんいるでしょう。ゴミ処理の過程を知ることができる工場見学では、歩きながら自分の目で焼却やクレーンを見て仕組みを学べるので、学びの深さが座学での学びとは断然違います。まるで焼却炉の中にいるかのように炎が燃えているVRなどを使用しながらスタッフの解説を聞いてみてください。

 

アクセスの面では土日祝日に無料シャトルバスが中書島や竹田駅から出ています。中書島からは十石船、酒蔵など伏見観光をすることもできるので、伏見の名所巡りを兼ねて「さすてな京都」に訪れてみてはいかがですか!?

取材日

2020年8月6日 

 

​記者

龍谷大学政策学部二回生清水ゼミ 中嶋智也 岡本楓真 長穂乃花

高橋さんと取材メンバー

 

行こうよ!さすてな京都

 

8月16日、私たちは「さすてな☆いきもの探偵団」のイベント「魚の進化のはてな?を観察しよう!」に参加しました。魚の進化を知るこのイベントでは、講師の中西一成さんから、46億年の地球の歴史を1年間で記した「地球カレンダー」を使って解説がありました。例えば、地球が1月1日元旦に生まれたとすると、魚が誕生したのは11月ごろになるそうです。恐竜時代は12月半ばで、ヒト(ホモ=サピエンス)の誕生はカレンダー最終日となる12月31日。地球が生まれ、魚が生まれ、恐竜が生まれ…、様々な生命の進化を経てようやくヒトが生まれたということですね。その他、私たちの食卓に欠かせない魚について、「新鮮な魚に比べて少し日にちを置いた魚は筋が骨と化してしまうことで骨の数が増える」という話や「魚をきれいに食べることは、食品ロスを防ぐことにつながる」と言った話も聞きました。

イベントには親子連れの低学年の小学生が参加していて、子ども達は話を聞き、魚への興味もったのか、自ら魚の絵を描いていました。魚の進化という一見難しそうなテーマも、カレンダーに例えた説明があったり、私たちの日々の暮らしに触れながら話してもらえたので、とても分かりやすかったです。 

 

イベント終了後、私たちはさすてな京都の期待の新人スタッフの高橋梨沙さんにお話を伺いました。高橋さんは、なんとインタビュー2週間前の、8月1日からお仕事を始めたそうです!

 

高橋さんは子ども向け学習プログラムを担当しています。大学の農学部で様々な動植物、自然生態系について広く学んだことが、環境を全体的に捉えながら学習プログラムを組み立てるのに役立っているようです。さすてな京都に来る前の仕事では、学習プログラムが環境により優しいものになるように工夫されていました。例えば、動物のペーパークラフト講座では、工作途中で紙の切れ端が出てごみになってしまいますが、高橋さんは、切れ端をなるべく作らず、ごみが出ないようにして、子どもたちに動物への理解とモノを大切に扱うことの大切さを伝えています。

 

日常生活では、モノを買うときはなるべくプラスチック製品を避け、綿や麻など天然繊維で作られた服を選ぶ他、旅先のホテルに備え付けられているアメニティを使わず、使い捨ての製品を安易に利用しないようにするなど環境負荷をかけない暮らしを心がけています。

「さすてな京都へふらっと来てくれると嬉しいです」と話す高橋さん。たくさんの人が気軽に訪れて環境のことを身近に感じ、さすてな京都に愛着を持ってもらえる場所にしていきたいと抱負を伺いました。

 

さすてな京都は、新しくてとてもきれいです。環境に関する本が揃っていて、ビオトープなど身近な自然に触れられる場所があります。今回、私たちは魚の進化について学びましたが、週末には自然やエネルギーなど色々なテーマでイベントが行われています。知的欲求が満たされる素晴らしい内容が多いです!ぜひ一度参加してみてください。

 

取材日

2020年8月16日

 

記者

龍谷大学政策学部二回生 清水ゼミ 荒井瑞稀、望木万由子、森保瑛美

 

ゴミもアートに!~さすてな京都のエコな取り組み~

日本では、年間約4000万t以上のゴミが捨てられ、これは、1日一人あたり約1kgのゴミを出している計算になります。ゴミの中にはまだ使えたり、賞味期限や消費期限が過ぎていないものも捨てられています。「さすてな京都」では、ゴミに対する意識を高め、ゴミを減らす行動ができるように施設見学やイベントが開かれているので、8月14日(金)に私たちは二つとも参加しました。

 

まず、私たちは1時間半ほどツアーガイドとともに施設を回りました。ゴミ処理場では、ゴミを持ち上げるクレーンを間近で見られたほか、ゴミクレーンと同じ操作をゲームで遊ぶことができました。また、ゴミ収集車で運ばれてきたゴミだけでなく、市民が自家用車で持ってきた粗大ゴミを直接捨てる様子が見られました。煙突棟にあるさすてな展望台からは、旧巨椋池が一望できました。巨椋池の水があったために伏見のお酒が知られるようになったそうです。ツアーガイドさんがいなくても、驚きや発見があり、楽しめる見学内容になっていますが、ツアーガイドさんの説明があるとより一層ゴミについて知ることができると思いました。
 

続いて、「さすてな☆ゴミラプロジェクト」に参加しました。ゴミ問題へ目を向けるきっかけとなるこのイベントでは、ゴミのほかに、木の実やアルミホイルといった素材、両面テープやボンド等の文具が用意されており、子供たちはスタッフに気軽に質問をしながら作品を作りました。出来上がった作品を見ると、子供の発想力が存分に生かされていました!
 

このように、不要になったものを使ってアート作品を生み出す「さすてな☆ゴミラプロジェクト」を運営している石神結美さんにお話をお聞きしました。

―ゴミラプロジェクトが始まったきかっけは何ですか?

石神:ゴミラプロジェクトは、元々京都造形芸術大学の水野哲雄名誉教授の発案で、廃材などから物をつくってみようという試みで始まりました。ゴミとなった過程を見つめ、子どもや親御さんにゴミや不要物について考えるきっかけをもたらす点で、意義のあるプロジェクトだと思い、環境学習施設のさすてな京都で行うようになりました。

 

―ゴミラプロジェクトに参加された方々の反応は?

石神:「良かったな」「楽しかったな」「こういったものがごみになっているのかと気が付きました」という反応が多いです。「自分の子どもがこんな風に集中するのだということが分かりました」という感想を始め、子どもの様子を親が見て喜んでもらえて嬉しいです。ごみのことや環境のことだけではなく、親子のつながりを築いてもらうのもいいと思います。

 

―ゴミラプロジェクトを運営して良かったことや印象に残ったことはなんですか?

石神:子どもがニコニコしていたらそれでいいと思います。作品づくりを楽しんで、大きくなったときにあんなの作ったなと思い出してくれたら十分です。子どもは自分で作った作品をゴミだと思っていないという声もありました。家に持ち帰って親御さんとの会話から「これは元々ごみだったんだよ」と話がでてきて、何年か後に、さすてな京都とどこかでつながれば、このイベントをやったかいがあるのかなと思います。ごみを減らすきっかけにもなればプロジェクトをして良かったと思います。

 

―ゴミラプロジェクトの他にさすてな京都でどのようなお仕事をしていますか?

石神:さすてな京都はごみの焼却施設をそのまま舞台にした学習施設ですので、工場見学等を通じてごみ焼却工場を知ってもらい、ごみの減量について知っていただけるよう仕事をしています。また、低炭素社会、生物多様性、地球温暖化をテーマとする講座を行っています。

 

―日頃どのようなエコな心がけをしていますか?

石神:ごみをなるべく出さないようにしています。買い物ではパック入りの製品を避けて、そのままのものを買うように心がけています。また、ペットボトルを買わず、マイボトルやマイバッグを持ち歩いています。

 

―今後「さすてな京都」がどういう風になっていったらいいと思いますか?

石神:さすてな京都は去年の10月に出来たばかりで、残念ながらまだ知らない人がたくさんいます。なので、まずは伏見の人にこの施設を知ってもらい、やがて京都の人や全国の人にも知ってもらえればいいなと願っています。

 

―ありがとうございました。

                                        

取材日

2020年8月14日

 

記者

龍谷大学政策学部二回生清水ゼミ  田中智広 内藤千春 西村皐

bottom of page