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環境ボランティアを通じて人と社会とつながる 荒川佳夫さん

藤森駅から徒歩5分にある京エコロジーセンターは、環境学習や環境保全活動の輪を広げるため、エコな暮らしを実践し伝える環境拠点である。館内にはエコについて学ぶ展示物や体験コーナーがあり、それらの案内をする環境ボランティアが約200名活動している。

 

環境ボランティアは「エコメイト」として館内案内を中心に活動し、3年経験すると「京エコサポーター」となり、館内案内だけでなくセンター外でエコな活動を行う役割も与えられる。

 

私たちは「京エコサポーター」として活躍されている荒川佳夫さんに、活動内容や環境に対する思いについてお話を伺った。

環境を改善する仕組みに興味を持つ                   

小学3年生の時に伏見区に越してきた荒川さんは、長岡京市に本社を置く電子部品メーカー村田製作所に入社した。スマホなどに使われる積層セラミックチップコンデンサー(部品)の開発に従事した後、定年前に環境管理部に移り、国際環境マネジメントシステム(ISO14001)申請に関わることになり、環境に興味を持つようになった。

定年退職後は、ISO14001よりもシンプルかつ低コストで審査・コンサルティングができる環境マネジメントシステムを作ることを決心し、京都独自の「京都環境マネジメントシステム」(KES)の創設に携わった。KESの審査員を務めた後、これまで築き上げた様々な人とのつながりによってエコロジーセンターのボランティアを知り、エコメイトになった。

 

人と社会とつながる「エコメイト」の活動                 

荒川さんはエコメイトとなり、企業に教えることや審査をするのではなく、子どもたちと一緒に考える機会が増えた。ものを一方的に教えることから、相互に考えることに変わり、始めは対応の方法などで苦労したという。だが、小学生と一緒に活動する中で、小学生が前向きにエコについて知ろうとする姿勢に気づき、彼らに分かるものの話し方をしようと心掛けるようになった。小学生の頃からエコについて学ぶことの必要性を実感し、子どもとともに学ぶエコメイトの活動に喜びを感じるようになった。

また、例えば大学の先生と話をする時、たまに自分の環境に関する知識の古さを指摘されることがある。このような機会に最新の情報に触れることで新たなことに興味を持ち、学びを深めることができるのが嬉しく、それが生きがいになっているという。

 

さらに、エコメイトの活動では自主的な活動を行う機会を持つことができる。荒川さんは現在「エコロジーカフェ」という話し合いの場を作り、フードロスや地産地消など食と環境問題について気軽に話し合えるイベントを行っている。このイベントでは企業の方に参加を募り、交流し、学びを深めることができるという。このように、エコメイトの活動を通じて社会との関わりが保たれ、色々な人と交流できるところが魅力なのだそうだ。

 

我慢せず無駄を省いてエコに貢献!

荒川さんは、年々深刻化する地球温暖化の影響を前に、エコをすることはもちろん重要だが、これからは温暖化がさらに進んだ際の適応策が必要になると考えている。そのうえで、「間に合うかはわからないが、自分なりにエコに貢献することは必要であり、我慢ではなく無駄を省いていくことが大事である」と語った。例えば、昔と比べ夏の気温が異常に高くなってきており、エアコンを使用しなければ熱中症になってしまうおそれがあるため、無駄のないように設定温度を定め、エアコンを使っていくことも必要になるという。

 

今後の伏見への思い                 

京都市民は全体的に環境問題に対して熱心であり、京都市の中でも伏見区は自然豊かな所で静かであるため、荒川さんはこれからも変わって欲しくないと願っている。

荒川さんは現在、伏見区の自治会や市民の方々と協力して、よりよい環境社会を作る活動をしようと考えている。しかし、学区との話し合いで調整に苦労することもあるのではないかと考えている。そのため、荒川さんはこれからも諦めたくない思いを若い人に託して、伏見区の未来を見守りたいと語ってくれた。

 

取材後記                                  

荒川さんへのインタビューを通じて、エコについての考えは人それぞれ多種多様な考えがあるということを知った。エコについて取り組むことには「これが正解」という答えがなく、「自分なりのエコをすることで貢献していくことが大切である」ということも考えることができた。

また、エコについての知識をより深めるためには、「幼い時からエコについて触れていくことが重要である」という意見をいただき、私たちはエコについて取り組む一方で子どもたちの見本となるということも自覚していかなければならないと痛感した。

 

(取材:2018年10月5日、龍谷大学政策学部2回生(清水ゼミ)桂田、竹本、泥谷、向畑)

 

京エコロジーセンター

1997年に地球温暖化防止京都会議(COP3)が開催されたことを記念して、2002年に設立された。ごみ問題や温暖化防止などについて学べる展示コーナーや図書コーナー、屋上ビオトープなどがあり、エコメイトや京エコサポータ―というボランティアが見学者の案内を行っている。

 

住所:京都市伏見区深草池ノ内町13

TEL:075-641-0911

 

開館時間:9:00~21:00(1・2階の展示は17時まで)

休館日:木曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始

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