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回せ 水車!!〜水車でつながる3人の絆〜マイクロ水力発電グループ

近年、再生可能エネルギーが注目されつつある。そんな中、実際に地域の用水路に水車を設置し、毎日の生活や災害時の非常用電源として利用してもらおうというプロジェクトがある。驚くことに、そのプロジェクトに取り組んでいるのは、なんと“高校生”らしい。彼らは、住民を巻き込みながら、水路を整備・補修するなど、地域と連携しながら取り組んでいるそうだ。

 

私たちは、そんな彼らについてもっと詳しく知りたいと思い、「京都市立伏見工業高等学校」を訪問した。そして、そこで学ぶ、工業探究コース・マイクロ水力発電グループ所属の3人の男子生徒に、お話を伺った。親しみやすく、笑顔が素敵な齊藤(さいとう)王(おう)我(が)くん(3年)。好奇心にあふれ、しっかり者の北之園(きたのその)七海(ななみ)くん(3年)。冷静かつ責任感がある池山(いけやま)純(まこと)くん(3年)。この個性豊かな3人組が、今、熱中しているもの、それが“水車プロジェクト”だ。

 

 

水車との出逢い

なぜこのプロジェクトに参加したのか尋ねてみると、一人ひとり水車との出逢いが異なっていた。水車に携わる先生と気が合いそうだったという、人付き合いを大切にする王我くん。知識を得るために自らを追い込み、自分を成長させ、建築士という夢を叶えたいという七海くん。また、学校説明会で螺旋水車を一目見て、これが自分のやりたいことだと気付いた純くん。

 

3人それぞれに水車との出逢いがあり、これからがある。

 

 

水車の魅力

実際、私たちが見せていただいた木製水車は、活動地域の間伐材を用いており、地域資源の地産地消に貢献している。腐っても自然に還るため、“エコ”にも意識をおいていた。さらに、木のぬくもりを感じる水車になっているため、設置する地域の景観にも配慮したデザインとなっているのが魅力のひとつだ。

 

また、彼らは活動場所を広げるため、作り方を教われば誰でも簡単に作れる水車の技術提供を行っている。例えば、福知山市夜久野町で使われている自転車のホイールに羽根をつけた水車など、手に入れやすい材料を用いるということにこだわっていることも魅力である。

 

 

デザイン×技術+秘密兵器!?=水車

プロジェクトを進める上で、設置場所周辺の景観にあった水車にしようと“デザイン”にこだわる七海くんと、発電をより効率的にしようと“技術”にこだわる純くんが対立することがある。そんな時、仲裁役の王我くんが加わることによって、お互いのこだわりを尊重した水車を造り上げることができる。それが結果的には最高のものになると語った。彼ら3人は、お互いを認めつつ、切磋琢磨しながら水車と向き合っているのだ。これこそ、3人の絆だ。

 

 

水車にかける願い

「水車を災害など、非常時の電源として使ってもらいたい。」という純くん。山間の村では、1本しかない道がもし土砂崩れなどでつぶれてしまったら、外からの救援が見込めなくなる。そんな時に、水車が電源として役立てばいいなというのが彼の願いだ。

 

また、「羽根に細工をすることで、水車がオルゴールになったらいいな。」という七海くん。農村などで、お昼に入る放送も水車で賄えたらいいのにと目を輝かせながら語ってくれた。

 

最後に王我くんは「水車が地域をつなぐシンボルであってほしい」と答えてくれた。この言葉には、二人の願いも込められている気がした。

 

これらは実験室にとどまらず、現場に足を運び、地域の人々と一緒に活動してきた彼らだからこそ見えてきた、水車の在り方だと思う。

 

 

取材後記

今回の取材を通して、高校生のうちから地域に出て、地域の人と一緒になって活動するといった貴重な体験をしている彼らを、うらやましく思った。活動をする中で、「水車が回った時の住民の笑顔や“ありがとう”がとっても嬉しい」と語る彼ら。どうしてそんなに熱中してしまうのだろうか…。

 

それは同じ目標を持った仲間と出逢ってしまったからなのだろう。同じ伏見で活動している彼らに、私たちは勇気をもらった。

 

取材:糸川 風馬  河崎 佑美

同行:横山 愛華

 

 

京都市立伏見工業高等学校

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