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伏見のオーガニックなバラ園「おくだばらえん」

 野菜や果物、コットンなど衣類の素材に関しては,直接自分の体に入ったり触れたりするものなのでオーガニックなものを選んだりするものの、花を買うときに農薬を使っているかどうかを気にしたことはなかった私たち。今回,農薬を使わずにバラを育てる「おくだばらえん」の奥田さんを訪ねた。


種類さまざま、生き生きしたバラ

 ビニルハウスの端から端へバラがたくさん並んでいる。親指サイズから手のひらサイズ、白、ピンク、赤、黄色に青いバラまで。「おくだばらえん」を訪れると、実にさまざまなバラが育てられている。

 これだけたくさんのバラを、奥田さんはどうして農薬を使わずに育てようと思ったのだろう。
 「1年間、アメリカのバラ園で働きました。頭からつま先まで体を覆う作業着を着て働いていたにもかかわらず、ある日農薬に自分の身体が悲鳴をあげて倒れてしまったんです」と奥田さん。それをきっかけに、1986年に帰国してからは,農薬を使わずにバラを育てることを試みた。
 時間をかけて取り組んだ結果、今では竹酢液やハーブを活用しながら病気に負けないバラを育てている。薬を使っていないからだろうか。優雅で華奢なイメージを持っていたバラだが、奥田さんの育てるバラはすくすく育つ子どもみたいに自由で勢いがある。

奥田さんの手が生み出すバラの世界

「このバラ、食べてみて」と紫色のバラの花を差し出された。口に含む。「あれ?」想像するよりも苦くない。甘みさえ感じる。「バラの花から、バラジャムやローズティーができますよ」と奥田さん。農薬を使っていないからこそ、「おくだばらえん」で育つバラは飾って目で楽しむだけでなく、口にすることもできるのだ。

 また、奥田さんはローズウォーターや石けん、ハンドクリームなども研究し、講習会を開いている。現在は東京・銀座にて「ロザフィ・ハーバリックローズプランティング」の講師として、ばらの育て方を教え、その普及に努めている。

 

「ザ・関西人」の深草っ子 

 深草に生まれ育った奥田さんは、少年の頃から父親が経営するバラ園を手伝ってきた。深草のイメージを尋ねると「田舎くさい」と一言。でも、ホテルで行われるウエディングフェアや花のイベントなどの会場装飾を手がけながらも、地域からの依頼があれば、時間の許す限り応える。その様子に奥田さんの深草への愛着が感じられる…と書いたらどんな反応がかえってくるだろうか。

 奥田さんは「おしゃべりでも講演でも、つい笑わせたくなっちゃうんだよね」 と全く飾らず、相手に楽しんでもらおうというサービス精神旺盛な方だ。奥田さんからフラワーアレンジメントを教えてもらえば、余計な緊張はすぐに解けて、バラと向き合えるかもしれない。実際、バラ園まで奥田さんを訪ねる生徒さんは多い。年齢問わず,男女問わず色々な人から慕われているところに,奥田さんのおちゃめで温和な人柄が伝わる。

 

暮らしに花を

 奥田さんのバラは、日頃抱くバラの香りや味とは全く異なり、なんとも香り豊かで優しい。バラ園に咲くバラ一輪一輪が元気いっぱいで愛らしい。「おくだばらえん」でしばらく過ごすと「花は特別なときのプレゼント」だけでなく、暮らしに花を取り入れることの楽しさも伝わってくる。それが「おくだばらえん」に咲くバラの魅力なのかもしれない。

 

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奥田容彦(おくだ やすひこ)

1964年深草生まれ,深草育ちのバラ職人。
おくだばらえん2代目としてバラを育てるほか,京都市内外でフラワーアレンジメントを教える。
ブログ:okudabaraen.blog.so-net.ne.jp/「おくだばらえん」facebookにて発信中。

 

■記者
・広瀬:日頃からバラの香りやバラを使った化粧品を好んで選んだりします。今回の取材を通じて京都でバラを育てている方がいることに驚きました。バラのおいしさやバラの香りを堪能できて、ますますバラが好きになりました。


・亀村:取材当日、ばらジャムとローズティーの作り方を教わりました。お茶とともに、バラに囲まれつつお話を伺うと、気持ちがリラックスして会話がはずむことはずむこと。奥田さんのおもてなしの心に感謝です。バラをきっかけに,通りに咲く花にも目が向くようになりました。 

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