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エコな人交流会実施報告

 去る平成31年1月19日(土)に、伏見エコライフプロジェクト交流会を実施しました。会場は、京農家さんの新鮮な食材と物語を、
築150年の古民家からお届けする新しいコンセプトのレストランとして知られるむすびの。伏見のエコな人の実践をより深くに伝えるとともに、伏見のエコに関心を持つ方同士のつながりづくりを目指しました。

 

 第一部のトークセッションでは、伏見のエコな活動を実践する方をゲストにお招きし、その哲学や取り組みの内容を聞くと共に、この活動が、現在世界的に注目を集めるSDGsの観点から見たとき、どのように理解できるのか、ということの解説を行いました。

【トークテーマ】

・「SDGsとは?」 京のアジェンダ21フォーラム 井上和彦氏

・「伏見の野菜を伏見で食べる ~未来へつなげる農を目指して~」 株式会社中嶋農園 中嶋直己氏

・「向島で繋がる健康と食と農」 大濵育恵氏

・コーディネーター 京都市まちづくりアドバイザー 谷亮治氏

農業を志す人の受け皿となるために

 中嶋氏は、未来の農業にチャレンジする企業という思いで株式会社中嶋農園を設立しました。私達の生活にとって「食」は大切な要素で、それを支えているのが農業です。しかしながら農業は身近に感じられていないという問題意識が中嶋氏にはあります。そこで、農業を未来につなげていくためには、それを担う「人」が大切であると考えています。かつてのような農業の世襲には限界があり、農業を志す人の受け皿となるために会社を設立したそうです。

 

 まず中嶋氏から実践報告がありました。中嶋氏は、「経営」「人材」「自然環境」の3つを大切にしています。持続可能な農業とは、化学肥料や農薬に過度に依存せず、自然環境とうまくつきあっていく農業であると語ります。化学肥料や農薬が将来的に手に入らなくなった場合にも、自分達が食べていくために、いかに周りにあるものでやっていくか。このような問いに答えられるのが持続可能な未来に続く農業であるそうです。中嶋氏は具体的には、生ごみを肥料として畑に戻し、ごみの削減につなげるといった循環型農業を実践しています。

当たり前のありがたさを知ってもらい、どんな人にも役割があるのだということを知ってもらいたい

 続いて大濱氏から実践報告がありました。大濵氏は、便利さを追求せず楽しく野菜をつくることを大切に、むかいじま病院で健幸菜園をはじめました。農薬を使わず、地域の人がつながってつくり上げ、地域に還元するというやり方です。上手につくるよりも楽しくつくることを心がけていると、子どもの土遊びからみんなの笑顔がうまれたり、作業しながら会話をすることでコミュニケーションが生まれたりしています。収穫した野菜の3分の1は病院に、3分の1は配食サービスに、3分の1は来てくれた人に分けて消費することが、人の役に立っているという実感にも繋がっています。

 

 野菜作りを通して、地域とのつながりや便利さとは何か、当たり前のありがたさを知ってもらい、どんな人にも役割があるのだということを知ってもらいたいと大濱氏は考えています。農家のありがたさや環境意識、健康に対する意識など、さまざまなことを考える機会としたいのだそうです。

 

 中嶋氏とは、病院でがん患者に無塩の食事を出すために、無塩であっても野菜の美味しさを引き出す方法を中嶋さんに相談するといった連携もしているのだそうです。

社会全体や世界で認識してもらうためのきっかけとしてのSDGs

 ここまでの話を受けて、井上氏から、これらの活動がSDGsの観点からどのように理解できるか、解説がありました。

 

 これまでのお話をSDGsの取組目標で振り返ると、食べ物という共通の課題として「2飢餓をゼロに」、地産地消からは「7エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、経済的な観点からは「8働きがいも経済成長も」、まちづくりの観点からは「11住み続けられるまちづくりを」、その他トータル的に16や17の取組目標にも係っています。世界中の色々な場所で、色々な人が色々な立場ややり方で取り組みを積み重ねていくことが結果としてSDGsの、そしてエコライフの実現につながっていくものと井上氏は考えています。SDGsは、それにしばられるのではなく、それに気づいて社会全体や世界で認識してもらうためのきっかけとなるものであるとのことでした。

 続けて、中嶋氏と大濱氏が共同で取り組む「むかいじますまいるマルシェ」について話題提供がありました。

 

 中嶋氏は、農業を続けていくために何が必要かと考えると、やはり一番近くの地元で野菜を食べてもらうことが大切と考えています。そのため、まちづくりと一緒に取り組んでいこうと思い、向島ニュータウンまちづくりビジョン検討会に参画しました。向島にこういうことがあるのだということを知ってもらうためのマルシェを、地域と一緒に取り組むため、地域のイベントに合わせて開催しています。結果的に相乗効果があって非常に良かったそうです。

 大濵氏によると、地域の人も地域活性化を頑張ろうとしているそうです。大濱氏は、中嶋氏の「地域から人がいなくなったらまちづくりはなりたたない」という言葉を受けて、外からも向島がいい場所だと認識してもらうために「すまいる(住まう)マルシェ」を開催したとそのきっかけを語りました。

地元野菜のランチを食べながら交流会

 第二部はパネラー、参加者を交えた交流会を行いました。中嶋氏の育てた野菜も含む、地元野菜を使ったランチを食べながら、各テーブルごとに自己紹介と交流を行いました。参加者から、各自の活動を紹介しあう時間を取りました。

 

・伏見わっしょい新党(龍谷大学学生):伏見の野菜市や農家とのイベントを開催している

・環境保全やエシカルな取組に取り組む竹中氏:エシカルな生活や開催中のスタンプラリーを行っている

・スタジオおくさまの城田氏:これまでのエコライフプロジェクトの印刷物も含めたデザインの提案をしている

・NPO法人京都・深草ふれあい隊「竹と緑」の佐々木氏:竹を使用したベンチや災害対応可のロケットストーブを作る活動をしている

・京都中小企業家同友会伏見支部の森川氏:中小企業が地域とつながっていくことが地域の課題解決につながっていく等,企業の立場からの見解を持っている

・京都リビングFM845の葛山氏:FM845では、環境省のCOOL CHOICEに関わる取組を行っている

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