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地野菜をつかってビジネス展開 農業生産法人 こと京都株式会社

京野菜をひろめよう!という思いをもって,九条ねぎでビジネス展開している

農業生産法人こと京都株式会社(以下,「こと京都」と言います)を取材しました。

「こと京都」は伏見区竹田で創業し,今では,伏見区内にある2つの工場で,九条ねぎを原材料とする製品をつくっています。

今回は営業部広報担当の山田紗矢香さんにお話を伺いました。

 

会社を興したきっかけ

現在の社長が脱サラして,実家の農業を継ごうとされたのが創業のきっかけ。農業をビジネスと捉えてチャレンジしてみようと,年商1億円を目標に出発されたそうです。ビジネス戦略としてブランド力の高い京野菜に着目し,年間を通して安定的に生産することができる九条ねぎにターゲットを絞りました。今では日本全国に九条ねぎの魅力を届けています。

 

「こと九条ねぎ」とは

九条ねぎにもいろいろと品種がありますが,「こと京都」は独自の基準を満たす九条ねぎを,自社ブランドの「こと九条ねぎ」として栽培しています。①京都府内で生産したもの,②減農薬・化学肥料の安全・安心な栽培方法,③九条ねぎの原種の割合が50パーセント以上の種使用,この3つが基準です。農作物が企業の商品になるとは,新鮮ですね。

 

畑でできた九条ねぎが形を変えて出荷!

取材した向島工場は,周りが田んぼや畑に囲まれた中にありました。一帯の畑の中にはもちろん,「こと京都」のねぎ供給元となる畑もあるそうです。工場では,畑で収穫されたねぎがラインに並び,きれいに調整されて出荷されていきます。採れたてのねぎが持ち込まれる倉庫にはなんとクラッシック音楽が!畑で丹精こめて育てられた農作物に対する深い思いを感じました。

 

向島工場で調整されたねぎは横大路工場にも運ばれ,洗浄やカット加工が施されて,ねぎのペーストやパウダーなどの二次加工品にもなるそうです。

 

みなさんは,“九条ねぎを使用した商品”と聞いてどんなものが浮かぶでしょうか。「こと京都」の主力はカットねぎ。ラーメン店に卸されたり,スーパーで売られたりしています。そのほか,九条ねぎのドレッシングやカレー,味噌などの加工品も開発されています。メーカー企業向けに作られた九条ネギのパウダーは他ではつくられていない商品で,期間限定のポテトチップスのフレーバーとしても使用されたそうです。さらに,「京の九条の葱の油」という京都らしい商品が2013年に生まれました。

 

「京の九条の葱の油」は,京野菜を使ったイタリアンレストラン「イル・ギオットーネ」のシェフと,京都で200年以上の歴史を持つ老舗「山中油店」の知識と技術によってできた商品で,“京野菜がついにここまで来たか”,と感じる逸品です。

“京野菜をひろめよう”。その思いがこんな形で私たちの生活の一部になっています。

 

生産過程における環境への配慮

九条ネギは畑にいる期間が長く,その分栄養素や旨味も増し,虫がついたり悪天候による病気や生育不良なども起きやすいそうです。現場では日々畑に出向き,ちょっとした変化がないかなど目を凝らして確認し,すぐに対応できるように見守っています。

 

また,栽培はビニールハウスではなく,露地ものにこだわられています。自然の厳しさに耐えて育ったねぎは,よりうまみが増すそうです。良いものを求めた結果,環境に配慮した栽培方法に至ったのですね。

 

生産者の育成 

九条ねぎの供給は,自社栽培のほか,地域の九条ねぎ農家と,独自の研修制度によって就農支援する研修生及び卒業生によって構成される「ことねぎ会」から補われています。“京都で就農したい”という思いでやって来る研修生は,全国各地から集まるそうです。未経験からの出発で,九条ねぎを栽培する知識,農業経営者になる方法といった4年間のカリキュラムで学んで独立し,九条ねぎの生産を支えています。

 

研修制度のほかにも,地域の大学生とは,ゼミ単位で収穫に参加してもらうといった取組もしており,まだまだつながりを深めたい思いがあるそうです。

 

京野菜への思い,農業への思い,人への思い,たくさんの思いからできた「こと九条ねぎ」。

伝統野菜をこんな形で身近に感じることができるのも素敵だなと思いました。

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